株式投資に近道はなし

たまたま誰かの情報の尻馬に乗っかり儲かる。

要するに自分では何の努力もしないで儲かる。

株式投資にはそういうこともあります。

 

しかし連勝することは少ないと思っています。

 

何度か勝てたとしてもたった1回の負けでそれまでの勝ち分がすっ飛んでしまうということはよくあることです。私はそんな人をたくさん見てきました。

 

ましてや株をやればわかるのですが、調子がよいとついつい投資額が大きくなっていく。

最初は50万円だけと思っていたのが、ギャンブルの好きな人なら、その額が膨れ上がり1000万円になるなんてことも。中には借り入れてまで相場を張る人も。

 

近年では仮想通貨が一時ブームになりましたが、そのときもそういう人が何人もいたと思います。

 

株式投資では、信用取引という制度が用意されています。

証券会社は出来るなら顧客にはこの信用取引を利用してもらいたいと思っている。

なぜなら、手数料が増えるからだ。

 

信用取引とは、簡単に言えば、株式投資資金あるいは株券を貸してもらえる制度です。

しかし株を借りる人より、資金を借りる人の方が圧倒的に多い。

 

いまさら昔のお話をしても意味ないかもしれませんが、まだ株券が当たり前のように流通していたひと昔前、新規に株を購入したら、決算期前に株券の名義書換が必要でした。だいたい2週間くらいは売買出来なくなるのです。

それを回避するために信用取引を使って株券を借り売るという「つなぎ売買」というものがありました。これは信用取引の使い方のひとつでした。

現在は名義書換の手続きをしなくても自動的にやってくれます。

 

その他、信用取引現物取引出来ないときに使う便利なものでした。

ただひとたび相場の世界に入り、信用取引するようになると急に資金が大きくなった気分になり、相場の張り方も大胆になっていくというのが普通でした。

それが高じすぎるとついに家屋敷までという悲劇につながっていき、そういう悲劇のお話が出回ることで株式投資はギャンブルと同等の扱いを受けるハメになったと言えましょう。

 

これは株式投資という本来あるべき資本主義に対する協力から、私欲のみに考え方が変わってしまう人が多かったのも原因でしょう。

そう仕向けたのは他ならぬ証券会社でした。

もちろんバブルの時代になると事業法人や銀行、不動産業などがその渦に巻き込まれ、人々の心は修復不能なほど私欲だけの世界へと向かいました。

これが90年代に引き継がれた。

まさに本当の意味での「負の遺産」でした。

 

ところで、株式投資をこらから始めようとす人からよく聞く質問にいくつかお答えしたいと思います。

 

株式投資を初めてされる方の中には、「これから伸びそうな企業が知りたい」と思う人もおられるかと思います。
ごもっともなことです。

ただその選んだ銘柄が希望通りの展開となるかはまったく別問題である。

要するに自分だけがいいと思ってはダメなのだ。

他人もいいなぁと思う銘柄でないと株は上がらない。

古の大経済学者ケインズは「株式投資美人投票」と例えた。

伸びそうなという事であれば、簡潔に言うなら、たとえば政府のプロジェクト絡みが一番わかりやすいかもしれません。
ではどんな企業が?

関連銘柄というものをピックアップしてその中から選ぶ。

そういう方法もひとつかと思います。

 

また、今回の新型コロナで見たように新薬やワクチン開発という海のモノとも山のモノともわからないけど、未来を見据えてという事もある。

 

これから直近で起こり得ることは、選挙でありましょう。

選挙絡み、その後取った政権の方針を先回りして買い付けるというのもひとつです。

 

他にも社会生活を営んでいれば、さまざまな事象に出くわすと思います。

そうした中で有望銘柄を見つけるというのもありますね。

 

ただそのようなブームというのは、長くは続かないということです。

また一旦、萎れても蒸し返しということもあります。

テーマの選び方もそういう意味では考慮しないといけません。

いい話やいい情報を聴くと、ほとんどの人が株価の位置を見ないで、買い注文を出してしまうのです。ウソみたいなホントの話。
いくら情報があっても株価の位置を見ないでというのは、ちょっと乱暴なように思います。

もしかしたらすでに株価はその情報を織り込み、安値からずいぶん高い位置にあるかもしれません。そうなるとよほどの可能性がない限り、上に行くのは難しいのではないでしょうか。

では過去の安値、高値の中間くらいだったら?

こういう時は戦略を立てて臨む。


あるいは安値圏であるなら、どうして買われないのか?疑問に思わないといけない。

安いものには必ず何かひっかかるものがあるのが普通です。
「安物買いの銭失い」ということわざがありますが、株式投資ではこの言葉は非常に大事です。

次に「株主優待がほしい」という人もおられるかもしれません。
これは四季報を紐解いて調べればよいのではないでしょうか?

これは難しい事ではないですが、それでも財務内容を調べるくらいはした方がよいと思っています。
 

また、ちょっと社会問題や経済問題などをかじっていると経営者の名前や考え方などをご存知の方もおられるかもしれません。
そういう人の中には、その経営者が好きだからという理由で企業を選ぶ場合もあるかと思います。好みの問題ですので、それもありと思います。
ただそんなときも株価の位置をよく確かめ、敷いては財務体質なども一応チェックするくらいはしてほしい。
意外に世間での評判と実際の会社経営の中身に場合によっては齟齬(そご)が出て来るかもしれません。


いずれにせよ、株式投資はあなたのお金を賭けるわけですから、誰かが救いの手を差し伸べるなどと安易な事を思わない方がいい。儲け話は一体誰が本当に儲かるのかよく考えれば詐欺から身を守れると思います。
証券会社の人間は、手数料がほしいので今流行り、要するに上昇しているものを勧めて来ます。ニュースなども取り上げたりしているので、信用してしまう事が多々あるかと思いますが、だいたいそういうお話が出ている時は、株価は高値圏にあるのが普通です。


汗水たらして稼いだ貴重なお金であれば、ご自身がよく納得して投資することが一番大事と思います。
料理でもそうですが、多少の手間暇があってこそ、投資の醍醐味を味わえるというもの。
ひとことで言うなら「株式投資に近道はない」ということです。