チャートの基本
株価と出来高はウソはありません。
しかし情報というものは、玉石混交、石(くだらない情報)の方がほとんどです。
それでも人は怪しい情報の魔力に逆らうことはなかなか出来ない。
それほど悪魔のささやき(誘惑)は強いのです。
ここではそんなあやふやな悪魔のささやきを断ち切り、銘柄選びのコツとチャート(罫線ともいう)の基本パターンを学んでみたいと思います。
どの企業に投資したらよいか?
これは好みもある問題なので、どれでもよいのですが、ただなるべく早く利につなげようと思えば、その時代のトレンドというのがあると思うので、なるべくその流れに沿ったものがよい。いわゆる〇〇関連とかいうテーマ株というものです。
もちろん、こだわりたい企業があればそれでもいい。
ただし、あまりに借金が多かったり、業績の悪い銘柄、特に何年もの長い間低迷しているような企業は要注意です。出来れば避けたいところ。たいていそんな会社は無配ですから楽しみがない。また何かあった時に潰れそうという意味合いからも避けた方がよいです。
このような銘柄はギャンブル性が高く、情報しだいで超乱高下します。
また長期で保有するにはあまりに不安でありましょう。
そこでその逆の銘柄がよい。借金は少なく、業績もそこそこよく、配当金を出している会社。そのほかにも株主構成など出来ればもっと深く調べられるだけ調べるべきとは思います。
投資しようと思う銘柄をいくつかピックアップしたら、その動き、すなわちチャートを見てみましょう。
選んだら、善は急げ、思い立ったが吉日とすぐに買いに走ってはいけません。そこのところはトランキーロ!
株価が過去の歴史の流れの中でどういう位置にあるかをチェックです。
これはチャートだけ見てもなかなか判断難しい場合もあります。
ここはそこそこの経験は必要かもしれませんが、しかしそれでも株価が歴史的に高い位置か安い位置かは一目瞭然と思います。
さて、今日は株価の見方として基本的というか、こんな考え方もあるということで二、三紹介したいと思います。
チャートの前に「PER(株価収益率)」と「PBR」を。
1株利益であり、1株純資産と呼ばれるものです。
これには理論的欠陥がありますが、あくまでひとつの考え方です。
たとえば市場全体の1株の利益に対してどれだけ買われているかの倍率を「PER」といいます。現在、PERが20倍くらいとすれば、たとえば1株の利益が10円だとしましょう。であれば、その株価は単純計算200円ということになります。
理論的欠陥というのは、1株利益が算出されないような会社でも株価はつくということです。また必ずしも平均的に買われることもないし、平均よりものすごく高く買われることもある。
同じように1株の純資産をこれまた何倍に買われるかを見たのがPBRです。同じように欠点があるので、詳しい説明は省きましょう。
さて、ではチャート分析です。
別の言い方をするとテクニカル分析ともいいます。その場合はこの後説明しますが、オシレーターと呼ばれる過去の経験に照らし合わせて作られた指標がいくつかあります。特に天才ワイルダーの考案したものは、その数がとても多いです。テクニカルと呼ぶときはこのオシレーター系の指標を含めます。
チャートはさまざまな国で考案されています。
私たちがよく見るローソク足(下の図)は、日本人が開発したとも言われています。
ここではお話しませんが、一目山人(本名、細川吾一)が昭和初期に開発した「一目均衡表」は日本のチャート史上、異才を放ってます。
アメリカン・チャートは簡単に高値と安値を棒にしたものを使ってました。欧米人が実用性を重んじることがよくわかります。
上値を結んだ補助線を「上値抵抗線(レジスタンスライン)」といいます。
また、下値を結んだ補助線が「下値支持線(サポートライン)」といいます。
そこでチャートの読み方の基本は、どちらに方向性があるか、トレンド(株価の流れ)を確かめるというのがチャート・リーディングの基本です。
右肩上がりなら「上昇トレンド」、右肩下がりなら「下降トレンド」、そして「もち合い」といって株価が平行線にある状態もあります。
上昇トレンドなら、買いに分があります。
下降トレンドなら、売りに分があります。
もち合いは、様子見となるかと思います。ただボックス相場というのがあってある一定の割合の幅で動いている場合、ボックス相場と割り切れるのなら、それで鞘(さや:利幅)を稼ぐ方法もないでもないです。ただしそれはボックス相場であれば儲かりますが、いつどちらに触れるかわからないという面ではあまり投資に向いた相場とは思えません。
では、どこを基準に上昇だの下降だの言うのか?
これは超長期である場合や短期ではまったく様相が違うからです。
これもどれを選らばなければならないというものはありません。
ただ通常、私たちは「6か月間の日足」などを見るようです。
あまり短期過ぎるとトレンド自体が見えませんし、動きが早すぎてよくわからない。
さて次回はさらにチャートを深く見て行きましょう。
その中には、理論として残っていても使う理由のよくわからないものもあります。
たとえばエリオットの5波動は、無視しますので、そこのところはよろしくお願いします。また「坂田五法」も覚えたところで果たして使えるかどうかわかりませんので無視します。ただ覚えておいてほしいのは、ひとつのローソク足が形成されるには、その背後に多くの投資家の葛藤があるということ。その結果がローソク足の形となるということです。
株式投資から学ぶもの
前回、株式投資の忘れている株主という観点を述べてみた。
株式投資というのは、実にさまざまな事柄を学べるものだと思う。
ただの金融商品のひとつなどと思う人は、株式投資の魅力をまだ体験してないと思われるのだ。
前回、格言をさいごに記したが、株式投資において、あのような精神修養にもなる。
また、決断力など論理性の持ち方も変わって来る。
さらに、株式を見ることによって社会や政治に関心が高くなる。
株式というのは不思議な商品で、たいていの商品は安くなれば多くの人が喜ぶ。
いわゆるバーゲンセールというものだ。
しかし、株に関しては安くなると多くの人が悲観する。目を背けてしまうのだ。逆に高くなれば喜ぶ。
ここに株と人生は符号する。
人生においても絶好調と思う時は何をやっても上手くいくように思える。ある意味、幸せの頂点にあるといってもいい。そういう時、多くの人が陥るのがついつい天狗になってしまうことだ。まさに有頂天。謙虚さもなくなってしまう。偉そうに振る舞う。
そんなときつまらないきっかけで躓(つまず)く人を私はたくさん見て来た。
そして下り坂を転がるように落ちて行く。
そのどん底で何を見つめるかで人の将来はまた変わる。
まさに株式も同じで天井をつけたら、あとは下るだけ。
しかし、いつまでも下がるわけではない。その逆で天井だってどこまでもというわけでもない。
天井がどこにあるかわからないように底もどこにあるかわからない。
人生と同じように山あり谷ありが相場なのだ。
それを格言で言い表したものが前回の格言である。
株式投資は、社会勉強のみならず、人生まで語ってくれる。
投資という観点から、FXや仮想通貨などいろいろあるが、株式ほど面白くかつ奥の深いものはない。
ここまで哲学的なことを述べてきましたが、次回は相場の波について語ろうかと思います。
株はギャンブルか?
株式投資はギャンブルなのでしょうか?
私は違いますと答えます。
なぜなら、株式を買うということは、すなわち株主になるということ。
株は売買して儲けるものというのは根本的な間違いです。
株主となるとはどういうことか?
会社のオーナー(所有者)になります。もちろん持ち分に応じたという制約はあります。
そして株主総会に参加する権利があります。これを議決権といいます。
また、投資した会社が儲かっているようであれば、配当金あるいは自社製品などの株主優待というものがもらえます。
最近ではNISAという非課税制度もある。
ここのところをすっ飛ばして、儲けばかリ考えることが異常なのです。
その異常さを創り出したのは金融機関に他なりません。
株式を売買させることで手数料稼ぎを始めたからです。
決して株式で売買してはいけないということを言っているのではありません。
株式というものがどういうものか今一度原点に立ち戻ってほしいのです。
株を何も知らない人は、「株ってずっと動きを見てなきゃいけないんでしょ」なんて質問するくらい何も知らない。
株主になるということを前提にすれば、銘柄選びもずいぶん変わってくると思います。
むしろ安いときに株価に注目するようになるでしょう。
これが決定的な違いなのです。考え方ひとつ変えるだけでこうなるのです。
また株はギャンブルと違って一発勝負ではありません。
ここで「えっ!?」と思う人は、株式投資そのものがまったくわかってないことを白状したようなものです。
ギャンブルは短期間に(時には数十秒で)ゼロか、利を得るかのどちらかだと思います。
ところが株式投資は「やり方」しだいで負けを勝ちにすることが出来るのです。
これが株のテクニックなのです。
そこで今日はナンピン(難平)という考え方を学びたいと思います。
ナンピンとは、高く買った株が安くなったのでまた仕込むというやり方です。
たとえば100円で買ったものが75円になったから再度買うというもの。
その際、出来れば下で買う時は、持っている株の倍以上仕込めることがベスト。
しかし、株価はどこで底をつくかわからない。その辺も考慮しておく必要はある。
株式投資をやられるプロの方の中にはナンピンを否定する人もおられます。
しかし現物で買う限り、ナンピンはひとつの武器になります。
信用取引においては、私もナンピンは否定します。なぜかというとそもそもがお金を借りて売買するわけですから、お金を返すことが出来る(現引き出来る)のなら別にナンピンもOKですが、だいたいの場合、お金がないからお金を借りているので、返せない人がほとんどです。だからこれはギャンブルであります。
繰り返しになりますが、安いところで買ったと思ってもまだ下があったりするものです。
そのときこそ、ナンピンを仕掛ける場面でもあります。
しかしたいていこういう場面の時は市場全般がとても投資という雰囲気のない時でもあります。これは経験者でないと実感はわかないと思います。
しかし株主になると思って買っている株なら、むしろ安いことは喜ぶべきところです。
株数も増えれば、議決権も増え、配当金も増える。
ということでさいごに格言を。
相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えてゆく(ジョン・テンプルトン)
次回はこの言葉を参考に述べて行きたいと思います。